50代で家を買い替えた話

50代になって夫とは別の人生を歩みたくなり自宅を買い替えて新しい生活をスタートさせた顛末記

今週のお題「引っ越し」

今週のお題「引っ越し」

 

はてなブログ今週のお題は「引っ越し」だそうです。

 

まさに今綴っているこのブログは引っ越しまでの道のりなのですがまだ途中だし…

 

でもせっかくのお題なのでちょっと脱線。昔の引っ越しの話です。

 

結婚してから賃貸アパートに住んでいたのですが、上の子が小学校へ入学するタイミングで新築分譲マンションを購入しました。

ちょうどそのころ私は第3子を妊娠中でした。12月に出産予定で引渡日は10月予定。

身重の体で荷造りはキツイけど、少しずつ荷物を詰めていきました。

 

あとは引っ越し業者さんが荷物を運び出せばお部屋を綺麗に掃除して大家さんに部屋をお返しする。

でも当日は慌ただしいから、事前に少しずつでも掃除して綺麗にしておきたい。窓を拭いたりドアを磨いたり。でも私の身体じゃ限界があるので夫にもっとやってほしい。

 

私がそういう話を夫にすると

「えー、別に綺麗にしなくていいんじゃないの?どうせ大家さんもハウスクリーニング入れるだろうし」

「それはそうだけどお世話になったんだし、少しでも感謝の気持ちを表したいじゃない」

「いやいや意味ないって。今更少し拭いても汚いのに変わりなし!」

聞く耳持たない夫でした。

私の体が身軽だったらもっとやりたいのに…。

せめて掃除機はかけようと言ったらそれは不承不承OKしてくれましたが。

 

当日。

生活に必要なものはギリギリまで使うので、朝ダンボールに詰めました。引っ越し屋さんは朝の9時に来るのでかなりせわしない感じ。

 

夫が「トイレットペーパーも入れていいよな。これ置いていってもゴミになるだけだろ」

「それはそうだね。新居で使いましょう」とダンボールに入れました。

 

そのときトイレの便器が汚れているのに気づいた私。

当時住んでいたアパートは和式のトイレだったので、身重の私は屈みたくなく、

夫に

「ちょっとトイレ汚れているから拭いてよ」

「えー?今?もうあんまり時間がないから、引っ越し屋が出ていってから軽くやるよ」という返事。

 

ダンボールに詰め終わってから、引っ越し屋さんがやってきました。

いかついおじさん3名と若い女性。いや女の子という表現のほうが合っている。

10代?と思ってしまうくらいで小柄で幼い感じの女性でした。

力仕事なのに大丈夫かな…と勝手に心配してしまったけど。

 

その女性が私の顔を見るなり言うのです。

「あの、すみません。お手洗い貸していただけませんか?」

 

めっちゃ慌てました。

き、汚いぞ…。

ああ、掃除しておけばよかった…。

 

「あ、あの。トイレットペーパーを荷物に入れてしまって」

「あ、大丈夫です。ティッシュ持ってますから」

「あ、あの。ちょっと汚れていて…」口ごもる私。

 

「いいです。大丈夫です」

女性はトイレに入りました。

 

もうそのあとはそのことで頭がいっぱいになってしまって、引っ越しが終わった後も気になって仕方がなかった。

 

申し訳ない。

ごめんね。

汚れを放置していた私たちのことをどう思ったかしら。

ああ、綺麗にしておけばよかった。せめて汚れをトイレットペーパーで拭き取ればよかった。

 

私の頭の中を後悔の念が渦巻いていました。

 

夫に愚痴っても「向こうにとってはこんなの大したことじゃないだろ」と鼻で笑われた。

若い女性にとって大したことあると思うんだけど・・・。気分悪かっただろうな。

 

悶々とした私だったのですが、しばらくたってからふっと思ったのです。

女性にとって大勢の前で「トイレに行きたい」ってすごく言いづらいことじゃなかったかしら。それだけせっぱつまっていたかも。汚れとかどうでもよかったかもしれない。

ああ、本当に気にしていなければいいのだけど・・・。

 

そういえば彼女、ダンボール運びを一生懸命がんばっていたなあ。細い腕で荷物を持っていたなあ。おじさんたちも「こういうふうに力を入れれば持てるよ」とか教えていて、それを聞きながら一緒に運んでいたっけ。

 

中途半端な後悔よりも、そういう彼女の姿を記憶したほうがいいよね。

 

先日、現在住んでいるマンションで誰かが引っ越すらしく、引っ越し屋さんが荷物を運んでいたのだけど、その中に若い女性が一人いました。体力なさそうだったけど、周囲に質問しながら神経を使って運んでいて、ふっとあの日の女性を思い出しました。

もう20年以上前になるんだなあ。